「焼きいれ・焼きなまし・焼き戻し」って何でしょうか

2016年 1月 22日

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鉄鋼製品の製造には、強度を上げる、機能を向上させるなどのために「焼き入れ・焼きなまし・焼き戻し」といった処理をすることがあります。
業界に関係していない方にはこのような処理は “何のために” “どういった方法で” 行うのかわからないものです。

*** 焼き入れ・焼きなまし・焼き戻しの違い…
それぞれの金属を加熱して組成に変化を与えることで、強度・硬度・性能を強化したり付加したりできます。
金属を加熱~冷却(急冷)することで金属の炭素組織が変化して強度が上がったりします。(マルテンサイト変態)

焼き入れ・・・鋼材を加熱(約730℃以上)した後、水や油などに浸して急冷させる方法
焼きなまし・・・焼き入れと同じ工程で行いますが、冷却の方法が急冷ではなく、加熱した炉内で徐々に冷ます方法で行います
焼き戻し・・・焼き入れを行った後、金属組成の変化温度より低めの温度(約700℃位)で加熱して、外気などでゆっくりと冷ましていく方法です

金属の組織を加熱して加工した際、その組織は変形して以前の形状と違う構成に変わっていきますが同時にズレなどのひずみも発生してしまいます。
そこへまた加熱を行うことで加工した「厚み」「形状」はそのままでも内部での構成にまとまりが出てきて品質が均一になります。

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(焼きならし:焼きなましの際にファンなどで風を当てて若干早い冷却を行う方法)

加治屋さんが材料を真っ赤になるまで加熱して “叩き” “ジューッと水に浸ける” といった作業の映像を見たりしますが、そういった工程には職人さんの経験による技が活きています。
こういった技を先人達はどうやって身につけていったのか…そいうトコロにもロマンを感じます。