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軌道修正を迫られているトランプ関税

2025年4月30日、米国のトランプ大統領は
米国内で自動車の車両を生産するすべてのメーカーを対象として、
自動車部品への追加関税の負担軽減措置を発表しました。
自動車製造業は日本経済・ものづくりにとっても最も重要な分野です。
米国内で自動車を製造している日本のメーカーにも負担軽減措置の恩恵が受けられる模様です。
ただトランプ関税は未だ未知数で5月以降実際にどうなっていくか予断が許されないと考えられます。

トランプ大統領の関税政策に対応しようと供給網の再編を工夫してきた製造メーカーは数多くあると考えます。
しかし、2025年4月初旬に発表したトランプ大統領の当初の相互関税は非常に大胆で、
それらのメーカー側の予測をはるかに上回る国々への対象・高税率でした。

市場はこれによって混乱状態で値動きが荒れました。
特に危機感をもって指摘されたのは関税による経済への悪影響、インフレ懸念と米国の株安・債券安・ドル安のトリプル安の同時進行などでした。
トランプ政権は事態の深刻化を回避するために関税措置の延期・税率の見直しと、
各国との交渉を今後進展させていく意向のようです。
短期的な視点だけではなく、中・長期的な視点での供給網再考が求められそうです。

米国政府は貿易赤字の解消や改善、
米国内での製造業の再興を期して政策を模索していくと考えられます。
2025年4月末では、造船事業の再興を日米・米韓で協力していきたい意向であることが判明しています。
造船業は2025年現在、中国が圧倒的な規模を誇っています。
米国は造船業の技術の立て直しを図っていきたい意向のようです。

製造の根を再び米国内に取り戻すことは想定以上に現実として難しい側面も現れてきているようです。
米大手ITテックメーカーは高品質で価格の抑えられた製品を世界各地の生産メーカー・拠点から調達し、
かつ安く組み立てられる国で組み立てて米国内に仕入れて米国内で先端製品を発売してきています。
これを米トランプ政権の望ましいとされる供給網で製造していくことは、簡単ではないとも考えられます。