微生物を活用した開発

2021年 8月 6日


新しいフィルムなどの素材を微生物からつくりだす研究が注目されています。
それは具体的には微生物をゲノム編集して特定の素材をつくらせる技術研究です。

ゲノム編集とは
「特定の配列を狙ってDNA(遺伝子)の切断を行い、これにより意図的なDNAの改変を可能にする技術です。
DNAの切断の後は細胞の本来の機能によりDNA修復も起きます。
この際に、特定の配列を断片として与えると、切断部に挿入するノックインが可能となります。
このノックインをさせずに修復を行ったとしても配列が変わらない限り、
DNAの切断が何度でも繰り返されるため、変異が発生します。
これを利用した特定の遺伝子の機能を止めるノックアウトにも活用されます。」
(「」、ゲノム編集 Wikipediaより引用)

特定の目的の物質を微生物につくらせる以外にも、
特定の素材を分解できる微生物にも注目が集まっています。
例えばプラスチックの分解の課題を解決する、ポリエチレンテレフタレートを分解する微生物が日本で発見されています。
この分解をしてくれる微生物は自然界の土中に存在していたものがそのまま発見されて調べられたことで見つかっています。

他方で目的の物質、素材、材料をつくらせる場合には、微生物をゲノム編集して遺伝子を改変してその微生物につくらせる手法が進められています。
目的とする物質と遺伝子データベース、それをAIに解析してもらって特定の微生物のゲノム編集を施し、培養することで材料・素材を得ます。

微生物を活用した研究は素材や材料の研究領域では最先端の技術研究です。
従来の高分子化学は石油化学系の二酸化炭素を多く発生させてしまう製造工程で出来上がっている一面があります。
二酸化炭素排出量削減を目的に含めると微生物を培養することで素材や材料を得る手法は、
地球温暖化ガス排出削減に働くと見られており有意義であると考えます。
ただ、筆者が考えることは工業的に材料や素材を調達することを考慮すると微生物の手法で量産化できるのか、価格面はどうなるのかが気になります。