将来を見据えた量子コンピューター、新しい工学的技術や研究について

2020年 2月 7日

2019年10月末執筆現在、Googleが量子コンピューターの開発を世界に先駆けて進めている内容が報じられました。
現在のコンピューターは二進法を活用した0と1の世界の計算理論を技術的に応用したものです。
この基本はコンピューターの始まりから、ずっと変わっていない基礎でした。
現在の最近のスーパーコンピューターも、日本では京から富岳へと移り変わる時ですが、この基礎は変わっていません。

一方で量子コンピューターは計算の世界をガラッと進化させるものです。
計算の手法の基礎理論も同時に超高度な計算をおそろしい速さで実現できる特長があります。
背景にあるのは量子力学という物理学の法則から導き出された新しい計算方法です。
量子コンピューターは大量の情報を一気に計算してしまいます。
0と1との世界ではない、0でもあり1でもあるという特殊な計算を爆発的な速度で計算ができるといいます。
この量子コンピューターの計算は従来の基礎でできたスーパーコンピューターの15億倍の速度で計算可能であるとも報じられています。

現段階では量子コンピューターが実際どのように応用されていくのかまだ未知数です。
ただ、既存の今までのスーパーコンピューターの進化は、人々の生活を実際に大きく変えています。
現代人の身の回りの精密機械・機器は例えばパソコンやスマホは昔のスーパーコンピューターを持運びサイズ・または手のひらサイズで持ち歩き応用・活用可能な現代の生活をつくりだしています。

工学・工業的には、社会に応用が利き、普及利用可能になる新技術の基礎となる基礎研究は実現された後、評価される事例もあります。リチウムイオン二次電池の2019年ノーベル化学賞受賞の事例がまさにその一例です。
受賞者である吉野彰教授は、「環境問題に対応した知恵が重要であろう」といいます。
さらには、「10年、15年、20年と先の将来を見据えた研究が世に役立つことが大事」とも言っています。
簡単ではありませんが、「そういう嗅覚が日本人の工学・工業的な研究の行く先に欠かせない」というメッセージはたいへん重いと感じます。