洋上加工船とは。

2016年 5月 31日

タンカー
「洋上加工ファクトリー」「洋上加工船」と言えば聞こえはいいですが、
「遠洋漁業」と聞いて私達がパッと思い浮かぶのは、
「マグロ漁船」でしょう。
「「マグロ漁船にでも乗ってよ!」」
そんな夫婦の罵り合いを昔、TVのバラエティ番組で
観た記憶があります・・・。
話が少し逸れましたが、今回はマグロ漁船ならぬ、
「洋上加工船」の全貌について、考えてみたいと思います。

「船その物が工場である。」
例として、世界最大級の「アラスカオーシャン号」を参考にしたいと思います。
(TVでも紹介された、「片腕のリーダー」吉田憲一さん)が工場長を努める船です。

「アラスカオーシャン号」:自動操縦する加工船としては世界最大級を誇る。
全長115m/総重量7400t。デッキ直下のフロア全体が魚加工用製造ラインとなっている。

主な製造品:
かまぼこの原料となる、すり身。
フィッシュバーガーに使用されるフィレブロック。
高級品のタラコ。
一日400~500tの魚が処理され、高い鮮度と評価を誇る商品が製造される。

作業工程:
船体最後尾から魚を大量に取り込み、それらを自動選別し、
各製造ラインに自動供給する。
タラコとフィレブロックは手作業を要求されるが、すり身に関しては
コンピュータ自動制御で、品質によりランク分けがなされ、
チーフ・オペレーターは制御モニタにて24時間体勢で管理を行う。

それら全体を統括するのが、司令室で待機する
工場長(ファクトリー・マネージャー)であり、
工場長は「サブ・マネージャー」と交代勤務で、寝室兼食堂の側にある
司令室から常に全体を管理している。
処理の終わった各鮮魚類は、じゃっかんの手作業を含む自動処理で
箱詰めされ商品となり、港にて荷降ろしされる。

私見。
私はTV番組で、この洋上加工船の事を知ったのですが、何よりも印象に残ったのは
ファクトリー・マネージャーの吉田さんです。数ヶ月に及ぶ極寒の海を航海するに辺り、
120人の素性も知れない外国人を
1、2分の短い面談で適正を瞬時に見極め、その場で採用する。
そしてキャリアに関係なく、仕事ぶりや人間性において、重要なポストを任せる。
それは吉田さん自身が30歳の若さで、船内作業中の事故によって片腕を失い、
絶望の淵から這い上がってきた人だからこそ、成し得られる事なのだと。
今回、この記事を書くに辺り当時、番組を観た記憶を思い返して、
今でも胸が熱くなる次第であります。