ガスヒートポンプ式の空調設備

2015年 12月 18日

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快適な空間には空調設備の充実が必要です。
「ガスヒートポンプ」これだけ聞くと、ガスを燃やしてその熱を利用するのだろうな…
という事くらいしか思い浮かばないので「冷房はどうするの?」って思ってしまいます。
ガスを燃焼させたエネルギーを利用してどのように空調を充実させるのでしょうか。

*** ガスを燃やしたら冷やせないのでは???…
冷暖房には電気式のコンプレッサーなどを使用したエアコンは一般的な家庭にも普及しています。
「ガスヒートポンプ式」も基本的な空調のシステムは同様なものですが、コスト面でいろいろと違いも出てきます。

まずは「ガスヒートポンプ式」での大まかな空調の仕組みをご紹介致します。

放熱する側の銅管を「コンデンサー」、吸熱する側の銅管を「エバポレータ」といいます

アンモニアは、沸点:-33.4℃で水溶性の性質があります。
冷媒として「アンモニア水溶液」を作って循環させて使用します。

まず「アンモニア水溶液」を加熱していくと蒸発気化(ガス)します、この時「高温高圧状態の”気体”」となります。
この状態で銅管(コンデンサー側)を通過する際に外気へと「放熱」をしていきます。
そこで「ガス」だった冷媒は「高温・高圧状態」から「低温・高圧状態の”液体”」へと変わります。

さらに「キャピラリーチューブ」を通過する際に速度が緩やかになります。
「キャピラリーチューブ」を通過して通常の銅管に戻る際に「低温・低圧状態」へと変わります。
この際「ベルヌーイの定理(※1)」による作用で速度が速くなります。

*** カンタンな全体の流れ ***
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「低温・低圧状態の”液体”」の冷媒は速度を上げて「エバポレータ」を通過していきます。
ここで「エバポレータ」の裏側などからファンで風を送ったりして冷風を起こします。
「エバポレータ」内では室内の熱を「吸熱」して「低温・低圧状態の”気体”」へと変化します。
このときに「エバポレータ」の表面に空気中の水分が付着して排水されます。
(エアコンの室外機にも排水跡がありますよね…)
冷媒はこのままタンクへと戻り「アンモニア水溶液」と合流してまた循環していきます。

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※1 ベルヌーイの定理・・・
「管内を連続して移動する流体は、速度が速いときには圧力は低く、速度が遅いときには圧力は高くなる」という原理。

加熱する際には、「ガスなどの燃料による」「二酸化炭素などの空気」「地熱(地下水)」などから熱源を得ることができます。

大掛かりになりますが、地下に熱交換器を埋設して行う方式もあります。
個人で行うには地中(約50~100m)に設置するなどと費用などの面から負担が大きいのですが、現在では約5m程度でも稼働できるタイプもあるそうです。
ちなみに “地熱利用のメリット” として…
「地下水は通年一定温度が保たれている」という点と、「暑い時期には地中へ」「寒い時期には地中から」熱をやり取りすることができるので安定して利用できるところがあります。

*** 「ガスヒートポンプ式」のメリット…
一般的に普及している空調では電気代が重い負担となります。
全てを電気だけでまかなう設備にかかる費用も抑えられ、「ガスと電気」の組み合わせで稼働させることでコストの削減ができる。

一般家庭規模の空調なら普及されているタイプでも充分でしょうが、事務所・店舗・工場などの設備では広さや構造も違いますし、稼働時間も多くなってくる事でしょう。
使用する規模によってはシーズンを問わず、コスト面や職場環境にかかわる問題になってくるはずです。
まずは環境を整えることで「良いサービス」「良い製品・商品」を生み出せることだけは確かだと思います。