なぜ食べ物を「干す」のでしょうか?

2014年 12月 16日

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美味しい食事も素材の使い方次第で「味わい」が変わってきます。
今では人工の調味料や甘味料などが多く使用されていて、天然の素材で作られたものと「味わい」が違っている場合もあります。

味覚が「ヘンに敏感」であったり、逆に「味わいを感じられない」ようになってきたりする方もいるようです。

天然の素材にひと手間かける事でグーンと「味わい」が上がる事があります。
例えば「乾物」、干ししいたけや煮干しなど食べ物を日光に当てて干したものは料理のうま味を上げてくれますよね。

— なぜ天日干しをして乾燥させるのでしょうか?乾燥させる事によるメリットとは何でしょうか?

・天日干しにより水分を抜くことで、鮮度が落ちやすいものでも一定期間の保存ができるようになります。
 さらに味が凝縮して栄養価も高くなります。

— 一般に入手しやすい「煮干し」「干ししいたけ」「干し納豆」でその特徴などを見てみましょう。

「煮干し」
トビウオ・さば・アジ・鰯などが材料になります、一般には「カタクチイワシ」を原料としたものが店頭に多く並んでいます。
水揚げされた小魚は洗浄され、一度煮ることでたんぱく質を凝固させて栄養価の流出を防ぎます。
そして天日で乾燥させる事で微生物の活動を活発にさせ、イノシン酸(「うま味成分」で有名)を増加させます。

天日からの紫外線効果でビタミンD(カルシウムやミネラルの吸収などに活躍します)も作られます。
煮干しには、DHA・EPA・カルシウム・鉄分・ミネラルなどが含まれています。
(DAH・EPAは不飽和脂肪酸といわれ、血中コレステロールのコントロールをしたり体の酸化を防止するなどの成分です。)
※おまけ:昆布にはグルタミン酸という「うま味成分」が多く含まれています。
 ですから、煮干し+昆布でダシをとれば「イノシン酸+グルタミン酸」という「うま味」の最強タッグが組まれます。

「干ししいたけ」
生のしいたけも醤油で焼くと香ばしくて美味しいのですが、日持ちの問題はつきものです。
「干ししいたけ」として活用することで美味しく長く頂く事ができるのです。

また乾燥させる事で、うま味成分でもあるアミノ酸の生成がすすみ「グアニル酸」が多くなります。(生の約10倍)
さらに香り成分の「レンチオニン」も増加します、この成分はウィルスなどに対する免疫力アップ効果もあります。
ビタミンDも増加します、また「エルゴステロール」という成分は天日干しの際にビタミンDに変化します。
しいたけを干すことでビタミンDを生成し、それを吸収しやすくできるのです。
またキノコ類には「食物繊維」が豊富に含まれています、生の状態よりも約10倍に増加しますのでこちらもパワーアップされています。

「干し納豆」
納豆の名産地「茨城県」の方ならお馴染みなんでしょうね。
私ごとではありますが、干し納豆は毎日食しております、「糸を引くのがイヤ」という方にはオススメです。
臭いは相変わらずありますので「臭いがイヤ」という方には…どうかな?

納豆には血栓予防効果が高い「ナットウキナーゼ」という成分が含まれています。
この成分は高温で加熱すると無くなってしまいますが、天日でじっくり乾燥させる事で残すことができます。
※ ドライ納豆といわれる商品の中には「油で揚げる製法」で作られているものがあります。これでは肝心な成分が無くなってしまいます。

ナットウキナーゼという成分は約10時間ほど効果を持続するので夕食時に食べるのがベストだそうです。
※ 睡眠から覚める手前が「血栓注意の時間帯」だそうですよ、ナットウキナーゼの長時間効果でカバーしてもらいましょう
お腹の調子を整える効果もありますので生活習慣(メタボ)が気になる方にもピッタリ。
またカリウム・鉄分・亜鉛も増加されていて体調管理にも貢献してくれるでしょう。

干す工程も機械で(温風で)乾燥させたり、油脂で揚げて時間短縮する製法がとられているようですが「天日干し」のような栄養価は得られないようです。
キレイにした野菜や魚などをザルに並べて「半日くらい天日干し」するだけでも違いが出るそうですよ、ぜひお試しを…。

「煮干し+昆布+干ししいたけ」でダシをとった鍋で盛り上がったら、シメには「干し納豆」とご飯でおじや!! なんていうのも良いですよね。
美味しいだけではなく栄養価も高い食事を摂って「明日も元気に」頑張りたいですね。