真空浸炭装置

2024年 3月 31日

真空浸炭装置は、金属部品の表面硬化を目的とした熱処理技術に使われる設備です。この方法では、特に鉄や鋼の部品を対象として、真空状態の中で高温に加熱しながら、炭素を金属の表面に浸透させます。このプロセスにより、部品の表面に硬い層が形成され、内部は柔軟性を保ちながらも耐摩耗性や耐疲労性が向上します。

真空浸炭のプロセスは、主に以下のステップで構成されます。

前処理部品の表面を清潔にし、必要に応じて前処理を施します。

真空状態の作成:部品を真空炉内に入れ、空気を抜いて真空状態を作り出します。

加熱部品を所定の温度まで加熱します。この温度は、炭素が金属表面に浸透しやすくなる範囲で設定されます。

炭素の供給加熱された部品の周囲に炭素を含むガス(例:メタンガス)を供給します。炭素が分解して金属表面に吸着し、さらに内部へ浸透していきます。

冷却所定の時間、炭素の浸透を続けた後、部品を冷却します。冷却方法には急速冷却(焼入れ)と徐冷があり、材料の特性や求められる性能に応じて選択されます。

真空浸炭処理は、航空宇宙、自動車、精密機械など、高い耐久性や特定の機械的性質が要求される分野で広く利用されています。真空状態で行われるため、酸化や他の不純物による汚染が少なく、非常にクリーンな表面処理が可能です。また、炭素の浸透深度や硬化層の厚みを精密に制御できるため、部品の性能を高いレベルで一貫して提供することができます。

機械システムのグラフィック銘板参考図

 

 

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