昔は授業で使っていました「墨」の製造

2015年 11月 17日

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公的な書類もネットで申請できてしまったり、金融機関や保険会社との取引などでもネットを介した契約や継続の手続きができる世の中ですから、自分の手で書く「自署」という機会が減ったような気がします。
たまにペンを執ると「ええ~…」というくらいに字がヘタになっています。

*** 習字では必要な墨…
小学生の頃には授業で「習字」をしました。
字をキレイに書くということやその準備として墨を磨ったり姿勢を正すというすべてを教えてもらえる時間でもあります。
この「墨を磨る」際のやり方で字の濃さや書き味も変わってくるように思います。

墨は何からどうやって作るのでしょうか…
墨は「煤(すす)」と「膠(にかわ)」でできています。
「煤」は菜種油や大豆油、ごま油なども使用されるそうです、イグサの芯を使用して燃焼させてその煤をローラーなどの面に付着させて回収することで集めています。
しかしいっぺんに大量の煤を集めることは難しいものだそうです。
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※ 膠(動物の皮や骨などを石灰水で煮込んで冷やし固めたもの)は天然の接着剤ともいわれしっかり付くうえに熱によってきれいに剥がれるので手直しや修繕ができます、使用する際には「加熱」して溶かした状態にします

墨の製造では、「煤」と「膠」を(煤63%、膠37%)混ぜて混練します、手でこねたり体重をかけて足で踏みしめたりします。
これを「木型」に取り分けて成形します、ある程度安定したら取り出して「灰と新聞紙などでサンド」して水分(湿気)を取ります。
1週間から1ヶ月の間乾燥させたら取り出して、さらに室内などの日陰で3ヶ月以上干します。
表面を洗って貝殻などを使用して表面を磨きます、1週間ほどまた乾燥させて木型でできた模様や文字の装飾に色付けをします。
手作業での墨作りは空気の乾燥している寒い時期が良いとされています。
和紙などに包み箱詰めすれば完成です。

*** リラックスして書く環境を…
墨の原料でもある膠の臭いは「動物臭」などが残っている場合がありますので「ジャコウ」を使用して香り付けをしています。
この「独特の香り」は精神を落ち着ける作用もあります。

背筋をシャンとして「墨を磨り」「筆を執る」と “プレッシャー” という緊迫感とは違い、「良い意味での緊張感」がうまれてキレイな字を集中して書けるようになるのでは?