「難燃繊維」燃えない?燃えにくい繊維

2015年 10月 27日

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快適だけでなく安全な生活は誰もが願うものですよね
最近の火事のニュースでは、逃げ遅れて死亡するケースが多いように思いませんか。
建物はしっかりと密閉性もよく室内も静かで快適なはずですから、異変に気づきやすいと思うのですが…

*** 難燃繊維の基本は…
火に強い繊維といえば「石綿(アスベスト)」です、これは天然の鉱石が繊維状に変形・変成したものです。
防火・耐火性能以外にも熱・薬剤などの影響も受けにくく安価で製造できたため多く流通していました。
古代エジプトでも使用されていた経緯があるほど古くから活用されてきたものですが、飛散した繊維などによる粉塵吸引によって人体への強い影響が後々になって出てきます、こういった点から現在では使用が禁止・規制されています。

今では「ガラス繊維」や「炭素繊維」によるアスベストの代替素材が活用されています。
またそれぞれに特徴もあり、取り扱いにも注意が必要になってきます。

主にFRPなどでもご存知でしょう、ガラス繊維単体などではなくベースとなる素材(樹脂や繊維など)との相性もありますし、軽量化や強度の面ではバランスのとれた配分が必要になります。

*** 繊維自体以外での対策…
アンチモンというレアメタルの一種やリン酸系化合物を利用した難燃剤というものもあります。
これを繊維や材料に混ぜ込んで使用することで繊維(製品)自体を燃えにくくするのです。
※ アンチモンやリン酸系化合物は毒性が指摘されていますが、代替原料の研究も進んでいます

リン酸系化合物を使用した場合、燃焼し始めた繊維(製品)内のリン酸による反応で炭化して繊維(製品)をコートして延焼が防げるようになります。
こういった難燃剤の使用で電化製品からの出火、または電化製品などへの類焼も防げます。
また万が一燃焼しても「有害なガス」などの発生を抑えたり、ガス化して保護膜へと変化することで延焼を防止する働きがあるそうです。

ハロゲン系の化合物であれば、燃焼時に発生するハロゲンガスにより周囲の酸素濃度を低くする反応が起きます。
これを利用すれば一部のみの発火に対して、延焼(類焼)の防止ができます。

インテリア製品などでは、カーテン・フロアマット・壁紙(クロス)などでも活躍しています。
キッチン周りやクルマの内外装部品、パソコン・モニターの筐体にも使用されていたりします。

ポリエステル・ポリオレフィンやポリアミドの合成繊維とリン・ハロゲン・フェノールなどの処理で、耐火や難燃技術の高い素材ができるようになっています。
繊維特有の使い方では空気を取り込むように「撚りをかける」などをすれば、キッチン用品の”鍋つかみ”のように燃えにくく熱も感じにくい製品となります。

“もしも”の時にはこういった機能が「モノ」を、そして「人命」をも救ってくれるのですが「火を出さない」というコトが大前提となりますね。