「工業系から医療系へ」内視鏡技術を広げるベンチャー企業

2013年 11月 22日

ilm09_ca04002-s

長野県長野市の”SPIエンジニアリング”(代表者:日高剛生社長)は、工業用内視鏡の開発・製造・販売を手掛けるベンチャー企業。

設立は2006年7月で約1500台の納入実績があり、これまでの技術やノウハウを生かし医療用内視鏡分野への参入を計画。

「設立当時は工作機械に設置して、作業中でも加工個所を拡大して見られる加工点観測カメラなどを開発していた。」
「ガス管の検査に内視鏡の需要があると聞いて、直径7ミリメートルの管内カメラを開発した。」
これが専門紙などで取り上げられ話題になった。

これ以降は、
「光ファイバーの敷設検査用に使われる直径8ミリメートルの防水仕様の内視鏡。」
「2007年には工業用内視鏡の細径化に取り組み、直径4.6ミリメートルの内視鏡を開発。」
「2009年には直径3.6ミリメートル、2010年には直径2.9ミリメートル」
と細径化が進んだ。

内視鏡には光ファイバーを使うタイプと先端にカメラを設置するタイプの2種類がある。
SPIエンジニアリングが採用しているカメラ型はファイバー型の約10倍の解像度があり画像も鮮明。
SPIエンジニアリングの工業用内視鏡の主力は直径2.9ミリメートルと同4.6ミリメートル。
この内視鏡に3.5型または5.6型の専用モニターを付けるか、パソコンで見られる仕様にするかを選べる。
従来は専用モニターが必要だったが、ウィンドウズOSのパソコンやタブレット端末に接続するだけで、内視鏡の画像が確認できる。

これからは、工業用内視鏡の技術を医療機器の開発につなげようと意気込む。
まず手掛けるのは胃ろう患者のカテーテル交換用内視鏡の開発。
胃にカテーテルを通して食べ物や医薬品を投与する患者向けで、カテーテルの交換時に医師が確認する時に使うもの。
医療事故の削減につながるほか、交換作業の省力化にも貢献できる。

この開発の一環として2012年12月には先端径1.8ミリメートルの内視鏡を開発した。
現在最も細い同社製内視鏡は2.9ミリメートルで「直径1.8ミリメートルのビデオカメラ型内視鏡の開発は業界初」(日高社長)という。
今後改良を進め、2013年秋をめどに医療向けの治験開始を目指し、2015-17年ごろの実用化を狙っている。

社名のSPIは「シンプル(単純)」「プレシジョン(精密)」「イノベーション(技術革新)」の頭文字から取った。
社名の通り、「誰にでも扱える高性能な機器を常に進化させ続ける企業」ではないでしょうか。