宇宙でのボールペン
皆さんが普段よく使っているボールペンのお話です。ボールペンと言えばインターネットでは下記のジョークが有名だと思います。
アメリカのNASAは、宇宙飛行士を最初に宇宙に送り込んだとき、無重力状態ではボールペンが書けないことを発見した。
これではボールペンを持って行っても役に立たない。
NASAの科学者たちはこの問題に立ち向かうべく、10年の歳月と120億ドルの開発費をかけて研究を重ねた。
その結果ついに、無重力でも上下逆にしても水の中でも氷点下でも摂氏300度でも、どんな状況下でもどんな表面にでも書けるボールペンを開発した！！
一方ロシアは鉛筆を使った。
勿論この話はジョークです。NASAも当初は鉛筆を使っていました。宇宙船で使えるボールペンを開発したのは本当ですが、それはNASAではなくフィッシャー・ペン社という企業です。あと、開発費も120億ドルも使っていません。
当初、無重力空間で鉛筆を使っていたNASAでしたが、折れた鉛筆の先や炭素の塵が電子機器に与える潜在的な危険や鉛筆に使われる木材の可燃性等の危惧から鉛筆の使用が問題視されました。そこである企業が宇宙でも書けるボールペンの開発を始めます。前述のフィシャー・ペン社です。この会社が宇宙で使えるボールペンを開発します。しかもNASAの資金援助無しでです。その開発費は100万ドル（当時のレートで3億6000万円）です。そして出来上がったボールペンが「スペース・ペン」です。
フィッシャー社は1965年からにNASAにこのボールペンを売り込みましたが、NASAは採用には慎重で、それから2年後の1967年に採用されました。
一方ロシアもスペースペンを使いました。アメリカとロシアでは今でも宇宙でスペースペンが使われています。今では一般販売もされているので購入可能です。
しかし、現実は意外でした。宇宙船内ではスペースペンでなくても市販のボールペンで何の問題も無かったのです。スペインの宇宙飛行士の日記にそう書かれています。普通のボールペンを試さなかった結果、複雑になりすぎたようです。
