VHSと規格戦争

2016年 11月 8日

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皆さん、ビデオと言われると何を思い浮かべますか?ビデオとは今では動画自体の事を指すことが多いですが、今回はそのビデオの語源について説明します。ビデオとはVHSとも呼ばれていた自宅で簡単にテレビや映画の録画・再生ができるきっかけとなった夢の機械です。

かつて「ビデオ」と言えばこの商品を表すほど世界的に普及した家庭用の映像記録媒体です。このVHSは、1976年に日本ビクター社によって開発・販売されました。

当時は各社が独自の規格で映像媒体を販売しており、VHSもこうした数ある規格の一つでした。さまざまな規格が乱立していましたが、開発・販売が先行していた規格がカセットの大きさや価格の面で家庭用としては普及しませんでした。そして、最終的に残った規格がVHSとベータと呼ばれる2つの媒体でした。

この2つの媒体の陣営に日本の多くの電気会社が参加し「ベータ・VHS戦争」と呼ばれる争いにまで発展しました。

こうして家電品史上例のない規格対立戦争は1980年代まで続きましたが、一般的傾向としては録画時間が長く、また販売店の多かったVHS陣営が1980年代初頭頃から優勢になり、1980年代半ばにはVHSがベータにシェアで勝っているという認識が拡がっていったのです。1988年にはベータ規格陣営のトップであったソニーもVHSの併売に踏み切り、ベータ方式は事実上の市場撤退となったのです
なぜVHS規格が勝利を収めたのでしょうか?主な勝因は2つあります。
1つは販売戦略による要因です。VHS陣営は各メーカーや店舗に積極的にVHSを推奨しました。その為顧客がVHSを購入しやすい環境が広がっていき、シェア拡大に繋がりました。

もう一つは技術的な要因です。VHS方式はベータ方式に比べ部品数が少なく、精密・調整箇所も少なかったため、各メーカーの参入が容易で量産や低価格化がしやすかったのです。

これらによってビデオソフトメーカーが販売・レンタルともVHSに一本化したことによってソフトが充実していきました。

この結果によってVHSはDVDの普及まで家庭向けの映像の主力を担いました。

また、DVD媒体に移行してからもDVDはDVDビデオとも呼ばれたほどVHSの大きな影響力を残していたのです。